ダンドボロギク
<2025年8月>（処暑） ダンドボロギク

ダンドボロギク
シカに食べられ、ほとんど草が生えていない林床。
白い綿毛をたくさん付ける地味な花、ダンドボロギクだけが咲いていた。
こんな帰化植物でも、生えてくれることで、かろうじて山の生態系が維持されているのだと思う。
（京都府京丹後市 2024年08月21日 KP z60mmt F8 MPオート）
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撮影雑記：
丹後半島の山の草花の異変に気付いたのは、2024年の春に訪れた時でした。

山の斜面が、何かで掘り返されたように土がむき出しになっていて、今まで、たくさん咲いていた ニリンソウやミヤマキケマンが、ほとんど咲いてなかったのです。

大雨で山肌が崩れた影響かと、その時は思ったのですが、夏に訪れて、山肌に下草がほとんどない 状況を見て、確信しました。
シカの食害です。シカが、山の草をことごとく食べてしまったのです。

そこ咲いていたのは、帰化種のダンドボロギクだけでした。



花は、咲いているのかいないのか、ほとんどわからないような花です。
白い綿毛をつけた種子の方が、よく目立ちます。



こちらは、咲き始めの個体。



こちらは、白い綿毛のアップ。
花期を選ばず、短いサイクルで順々に咲き進んでゆくようです。
そして、たくさん種を飛ばすので、あちこちに生えているのでしょう。



このような芽出しの個体もたくさんありました。
しかし、この場所は、ほんの２、３年前までは、アキチョウジなどの群落に覆われていました。
20年以上丹後半島を訪れ、季節の美しい草花を見てきた私には、あまりにも悲しい景色です。



クモの巣がかけられていました。
ダンドボロギクの、綿毛の種子が、巣に、いっぱい張り付いています。
ダンドボロギクだけでも、生えていてくれることで、山が裸になることを防いでいてくれます。
そして、そこに住む生き物たちは、たくましく生きているようです。
そう思うと、ダンドボロギクも、なんだか、いとおしく見えてきます。

将来、この場所が、再び、いろんな草花で溢れる場所に戻るのか、ダンドボロギクが群生する場所になるのか、 はたまた、別の草花が咲くようになるのか、わかりません。
しかし、どのような植物が茂る場所になっても、それは新しい生態系であり、受け入れるべきだろうと、 最近は思うようになりました。